日本歴史地名大系 「若宮大路・段」の解説
若宮大路・段
わかみやおおじ・だんかずら
鶴岡八幡宮の前から南方の海岸へ向かって一直線に延びる、鎌倉の主軸道路が若宮大路で、その中央には二列の堤を築き、堤の脚部に石を置き、一段高くなった参詣路がある。これを段葛と通称している。段は壇、葛はその上に置かれ縁石を兼ねる石のことで、段葛とは土壇の上に葛石を置いて造った道ということになる。段葛の名が現れるのは江戸時代の「鎌倉志」ぐらいからで、室町時代には
「吾妻鏡」寿永元年(一一八二)三月一五日条に、鶴岡の社頭から「由比浦」に至るまで、「曲横」を直して「詣往道」を造ったとあり、これは源頼朝のかねての素願であったが、今回、北条政子の安産祈願に際して工事を始めたとし、頼朝が自ら監督し、北条時政以下の重臣も土石を運んだと記している。この時、若宮大路の原形がつくられたのであろう。
大路の名は鶴岡八幡宮若宮にちなんだもので、「吾妻鏡」文治元年(一一八五)五月一六日条に、捕らえられた平宗盛が鎌倉に連行された際、若宮大路を経て
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報