鎌倉の鶴岡八幡宮から由比ヶ浜に通ずる若宮大路の中央の一段高い道路部分をいう。現在は赤橋(三ノ鳥居前)から小町口(二ノ鳥居)までの間に残っているが,元は米町口(下馬四つ角)あるいは浜の大鳥居(一ノ鳥居)まで続いていたともいう。段葛の名は,葛石を段に築いたからだという。ただ中世の記録には段葛の名は現れないので,いつごろからこう呼ばれたのかは明らかでない。《吾妻鏡》の寿永元年(1182)3月15日条に源頼朝が妻政子の安産祈願のために御家人等に築かせたと記されている。近世には段葛もしくは置石と呼ばれており,今もこの両側には置石の地名を残す。《鶴岡社務職次第》では七度小路,《梅花無尽蔵》では千度小路,千度壇と称している。近年,赤橋前の公共下水道工事に際して地表下約180cmで敷石が確認されており,12世紀に築かれた参道は地下にうずもれているようである。現在の段葛は16世紀ころのものと思われる。
執筆者:大三輪 龍彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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