草鹿(読み)クサジシ

デジタル大辞泉 「草鹿」の意味・読み・例文・類語

くさ‐じし【草鹿】

歩射ぶしゃの的。板で鹿の姿を作って革や布を張り、中に綿を入れてつるしたもの。鎌倉時代に始まり、室町時代には大的おおまと円物まるものとともに徒立かちだ三物みつものといわれた。草鹿的くさじしまと

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精選版 日本国語大辞典 「草鹿」の意味・読み・例文・類語

くさ‐じし【草鹿】

  1. 〘 名詞 〙 鹿の形に作った、弓の的。ヒノキの板で鹿が首をあげている姿をつくり牛皮や布を張り、中に綿を入れて横木につるしたもの。作法を伴った競技の具として鎌倉時代に始まり、室町時代には大的、円物(まるもの)とともに「歩立(かちだち)の三物(みつもの)」としてさかんに用いられた。草鹿的。
    1. 草鹿〈丸物草鹿之記〉
      草鹿〈丸物草鹿之記〉
    2. [初出の実例]「召父母兼備射手。有草鹿勝負云々」(出典吾妻鏡建久三年(1192)八月二〇日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「草鹿」の意味・わかりやすい解説

草鹿
くさじし

狭義には夏草に立つという鹿が頭をもたげた姿につくった歩射(ぶしゃ)の的、広義にはその射芸全体をさす。的の材料は檜(ひのき)板を革で包んでその間に綿を込め、表面は矢当ての星(円)一つと、ほかに23個の小円を白く残して栗(くり)色に塗る。弓は白木弓、矢は神頭(じんどう)、四目などを用いた。1192年(建久3)鎌倉幕府で草鹿の勝負のあった記事がみえ(『吾妻鏡(あづまかがみ)』)、室町時代にも行われているが、近世には衰退した。

[宮崎隆旨]

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