丸物(読み)マルモノ

デジタル大辞泉 「丸物」の意味・読み・例文・類語

まる‐もの【丸物/円物】

全部完全にそろっているもの。
演劇などの大道具うち本物のように立体的に作ったもの。平物ひらものに対していう。
ひし形の板まとに対して、円形の皮革製の的。
裏表がそろっているところから》小袖こそで
小袖を―といふ事は端物に対していふなり」〈貞丈雑記・三〉
《形が丸いところから》金銭隠語
「とかく正味の―でなけりゃ夜が明けぬ」〈伎・韓人漢文〉

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精選版 日本国語大辞典 「丸物」の意味・読み・例文・類語

まる‐もの【丸物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 端物(はもの)に対して、全部そろっている物。完全にそろっている物。
  3. ( 表裏がそろっているところから ) 小袖(こそで)別称。〔随筆・貞丈雑記(1784頃)〕
  4. ( 形が丸いところから ) 金銭のこと。
    1. [初出の実例]「廻り遠い詮索より、とかく正味の丸物でなけりゃ夜が明ぬ」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三)
  5. 大道具の中で、柱・立木・舟などを本物のように立体的に作ったもの。平物(ひらもの)などに対していう。
    1. [初出の実例]「舞台前上下に丸物(マルモノ)の石積み上げあり」(出典歌舞伎・夢結蝶鳥追(雪駄直)(1856)三幕)
  6. 米相場で、一〇〇石単位の米をいう。〔稲の穂(1842‐幕末頃)〕

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百科事典マイペディア 「丸物」の意味・わかりやすい解説

丸物【まるもの】

劇場用語。切出(平物)の対。ほぼ実物どおり立体的に作られた大道具をいう。家屋樹木灯籠(とうろう)など。また一部分切出を混ぜたものを〈半丸物〉という。

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世界大百科事典(旧版)内の丸物の言及

【歌舞伎】より

…背景とは別に飾られる山,樹木,灯籠などのうち,単に物体の絵をかいて切り抜いた板を立てるもの。平面的な〈切出し〉に対して,立体的に作ったものを〈丸物〉という。 黒幕(くろまく)大道具で夜の場面の背景にする黒一色の幕。…

※「丸物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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