出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…侍身分のものは御目見(おめみえ)以上の格とされて,主君に拝謁を許されたのに対し,徒士身分のものは御目見以下の格とされて,御目見を許されなかった。また足軽身分から徒士身分への昇格は比較的容易であったが,徒士身分から侍身分への昇格はきわめてまれなことであり,俸禄にしても侍は知行取の格とされ,徒士は蔵米取の格とされた。幕府では旗本は御目見以上の格であり,侍,御家人は御目見以下の格で徒士に相当した。…
…蔵米ともいう。江戸幕府においては,直属の家臣(旗本,御家人)のうちに,知行地を与えられた知行取と,知行地をもたない蔵米取がいたが,後者に与えられたものが切米である。切米の支給は通例,春(2月),夏(5月)に4分の1ずつ,冬(10月)に残りの全部を渡すのを原則とし,このうち春,夏の分を春借米(はるかりまい),夏借米と称し,冬の分を冬切米と呼んだ。…
…切米(きりまい)に同じ。知行地を与えられた武士を知行取というのにたいし,知行地をもたず,領主直轄地から収納される年貢米を蔵米として給せられる武士を蔵米取(家禄)と呼んだ。【大口 勇次郎】。…
…下級の知行取の場合は,家臣の駐在もなく年貢収納を知行地の名主にまかせる場合もあった。これに対し蔵米知行の旗本は,蔵米取(切米取)とも呼ばれ,幕府蔵より年に春,夏,冬の3回,俸禄を米または張紙値段によって換算した金で支給されるだけで(俸禄制),知行地を支給されることもなかった。 1867年(慶応3)大政奉還によって幕府が倒れた後も大名領は朝廷の下に維持されていたが,明治政府は69年(明治2)版籍奉還を行うとともに武士階級を華・士・卒族に編成替えし,71年廃藩置県によって大名とその家臣団の土地領有権を否定した。…
…旗本の出自は三河以来の旧臣・近国衆に属する者を中心に,大名の絶家・分知で一族家臣の登用された者,名家の子孫,学問技芸によって登用された者などとなっている。寛政期の旗本の知行(ちぎよう)形態は知行取の人数2264人(43%),知行高262万7540石(80%)(図1),蔵米取の人数2941人であり,蔵米高の内訳は切米取62万1525俵(2836人分)が大部分を占め(図2),現米取と扶持取は少である。 旗本の幕府勤仕は有職を原則としたが無役の者も少なくない。…
…戦国時代以前にも,家臣に米を給することを扶持と呼んでいたが,江戸時代に入って制度的に整い,武士1人1日の標準生計費用を米5合と算定して,1ヵ月に1斗5升,1年間に1石8斗,俵に直して米5俵を支給することを一人(いちにん)扶持と呼び,扶持米支給の単位とした。これは知行(ちぎよう)高5石の蔵米取(くらまいとり)御家人が1年間に受け取る切米(きりまい)に相当する。扶持米の支給方法は,切米の支給に準じ,支配頭の裏書奥印のある扶持受取手形を御蔵(おくら)または御金蔵(おかねぐら)(金蔵)に持参して,米または金を受け取った。…
※「蔵米取り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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