朝日日本歴史人物事典 「藤原公実」の解説
藤原公実
生年:天喜1(1053)
平安末期の公卿,歌人。大納言藤原実季と藤原睦子(経平の娘)の子。伯母茂子が白河天皇の母,妹苡子が鳥羽天皇の母,さらに妻藤原光子(隆方の娘)が堀河・鳥羽両天皇の乳母など,天皇家との深い結び付きにより栄進,権大納言・正二位に至る。鳥羽天皇の即位に伴い,外戚として摂政を望んだが果たせなかった。若いころから歌才に優れ,白河院・堀河院両歌壇の指導的な役割を果たし,「堀河院艶書合」や「堀河百首」の作者となる。美男であったようで,笛や琴の嗜みもないのに笛を腰に差し琴爪を伸ばしていても妙な気取りにはみえなかったという。子の実行は三条家,通季は西園寺家,実能は徳大寺家のそれぞれ始祖となった。<参考文献>井上宗雄『平安後期歌人伝の研究』
(渡辺晴美)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報