藤原武智麻呂墓(読み)ふじわらのむちまろのはか

日本歴史地名大系 「藤原武智麻呂墓」の解説

藤原武智麻呂墓
ふじわらのむちまろのはか

[現在地名]五條市小島町

栄山えいさん寺の裏山にある。国史跡。「延喜式」(諸陵寮)の一二遠墓のうち、「後阿墓」の項に「贈太政大臣正一位藤原朝臣武智麻呂、在大和国宇智郡、兆域東西十五町、南北十五町、守戸一烟」という記載がみえ、「天平」の文字のある墓碑断片とみられるものが同寺にある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「藤原武智麻呂墓」の解説

ふじわらのむちまろのはか【藤原武智麻呂墓】


奈良県五條市小島町にある墓。吉野川に面した真言宗豊山派の寺院である栄山寺(えいさんじ)の裏山に所在する。藤原武智麻呂は不比等(ふひと)の長子、南家の始祖で737年(天平9)に没後、太政大臣を追贈された人物。平城京北方の佐保山で火葬されたが、子の仲麻呂がこの地に改葬したとされる。『延喜式』には「後阿陀(あだ)墓」とあり、武智麻呂の墓が大和国宇智郡阿陀に置かれたことがわかる。1940年(昭和15)に国の史跡に指定された。墓は、1辺7~8mの方形に付近から産出した緑色片岩の長方形石材で囲って基壇とし、その中に1693年(元禄6)建立墓石が建ち、明治時代に付近から骨蔵器が発見されている。奈良時代後半の貴族の葬送に対する観念を知ることができる。同じ阿陀の地にはほかに藤原北家の墓もあり、奈良時代の官人層の埋葬地としてこの地が設けられていたことも知られている。JR和歌山線五条駅近くの五條バスセンターから奈良交通バス「栄山寺」下車、徒歩約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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