陵墓に関する事務を行う役所。729年(天平1)令制の治部省管下の諸陵司を,機構を拡張して改称した。頭,助,大允,少允,大属,少属,史生4名,使部10名の職員を擁し,陵墓への奉幣,陵戸・守戸(りようこしゆこ)の配置とその戸籍・計帳の勘造,陵墓周辺の環境整備,陵墓の定期巡検・修補等の業務を行った。令制の崩壊とともに有名無実となり,15世紀中ごろには廃絶した。1864年(元治1)宮中に再興され,69年(明治2)京都出張所を設け神祇官に移ったが,71年廃止された。しかしその業務は,神祇省に引き継がれ,さらに72年教部省陵墓課,77年内務省社寺局諸陵課,翌年宮内省へと引き継がれた。86年宮内省官制改正に当たり,足立正声の建白を入れ3たび諸陵寮が設置され,庶務,主計,調査,往復の4課と京都在勤諸陵寮を置いて,陵墓の管理・考証と,古墳の発掘,埋蔵物発見等の届けに関する事務を行うことになった。88年京都在勤諸陵寮を諸陵寮出張所と改称,1914年出張所を廃止し,4課を経理,考証の2課に統合,21年庶務,考証の2課に改組し,46年また廃止され,陵墓関係の事務は,宮内庁書陵部へ引き継がれた。
執筆者:石田 茂輔
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