藤村詩集(読み)とうそんししゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤村詩集」の意味・わかりやすい解説

藤村詩集
とうそんししゅう

島崎藤村詩集。 1904年刊。『若菜集』 (1897) ,『一葉舟』 (98) ,『夏草』 (98) ,『落梅集』 (1901) の合本。巻頭に「遂に新しき詩歌の時は来りぬ」に始る序文を付し,明治浪漫主義の最初の開花を鮮かに誇示した詩集。伝統の詩語や韻律を生かしながら,近代的自我基底とした官能の解放,恋愛賛歌,唯美的芸術賛美の感情をうたい,生活的,現実的な詩風に変っていく過程もうかがわれる。藤村は本集刊行以後は詩から散文に移った。

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世界大百科事典(旧版)内の藤村詩集の言及

【抒情歌謡集】より

…この詩集の作品および序文の理論を通じて,イギリス・ロマン主義を大きく前進させた功績は大きい。日本においては,ことにワーズワースの詩が明治20年代以降多数紹介・翻訳されるが,再版序文の影響が,合本《藤村詩集》(1904)序文における島崎藤村の詩歌観にみられる。【山内 久明】。…

※「藤村詩集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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