血の河の戦い(読み)ちのかわのたたかい(その他表記)Battle of Blood River

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血の河の戦い」の意味・わかりやすい解説

血の河の戦い
ちのかわのたたかい
Battle of Blood River

1838年12月16日に南アフリカのバファロー川(ムジニャチ川)の支流ンコメ川で行なわれた,ズールー族と白人開拓民ボーア人の戦い。1837~38年,家族や家畜とともにケープ植民地から移動中のボーア人は,当時ディンガネ国王が支配していたズールー王国の南の境界に隣接する地域に到達し,両者衝突を繰り返した。1838年12月16日ンコメ川で,アンドリース・プレトリウス率いるボーア軍は,ズールー族の攻撃を迎え撃った。ボーア人野営地は荷馬車円形に並べて防壁とした。ズールー族はボーア人の小火器や大砲によってあっけなく敗れ,多大な犠牲を被った。ンコメ川は殺害された何千人ものズールー族の血で赤く染まり,血の河として知られるようになった。血の河の戦いでの敗北によりディンガネ国王の力は弱体化し,1840年弟のムパンデによって退位させられ,のちに殺害された。ズールー族とボーア人との戦いは,ムパンデのもとに終結した。戦いに先立ち,ボーア人たちはズールー族を倒すことができたら教会を建て,その日を宗教上の休日にしようとの誓いを立て,以来 150年以上にわたって,毎年この勝利の日を「誓約の日」として祝った。(→グレート・トレック

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