行基焼(読み)ギョウキヤキ

デジタル大辞泉 「行基焼」の意味・読み・例文・類語

ぎょうき‐やき〔ギヤウキ‐〕【行基焼(き)】

須恵器すえきの俗称。和泉国いずみのくに大鳥郡で産したねずみ色の素焼き陶器行基が指図して焼きはじめたという。

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精選版 日本国語大辞典 「行基焼」の意味・読み・例文・類語

ぎょうき‐やきギャウキ‥【行基焼】

  1. 〘 名詞 〙 各地に散在する古代のねずみ色のやきもの。天平年間(七二九‐七四九)、行基が創始したと伝えるが根拠はない。はにもの(土器)に対するすえもの(陶器)の俗称として用いられてきた。
    1. [初出の実例]「いく世経て形おかしき行基焼〈霞東〉 物好みめす君が明くれ〈几董〉」(出典:俳諧・続明烏(1776)夏)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「行基焼」の意味・わかりやすい解説

行基焼
ぎょうきやき

主として東海地方を中心に発見される粗末なねずみ色の素焼の碗や皿 (須恵器) の別称江戸時代に茶人間で鑑賞用として珍重されたときの呼称。名僧行基が諸国巡礼のときにその製法を教えたという言い伝えによる。別名山茶碗,山皿。平安時代後期~鎌倉時代焼物である。

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改訂新版 世界大百科事典 「行基焼」の意味・わかりやすい解説

行基焼 (ぎょうきやき)

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世界大百科事典(旧版)内の行基焼の言及

【須恵器】より

…床面傾斜については,ほぼ水平のものから40度前後の急傾斜のものまでさまざまだが,構造上の基本は同じであり,床面傾斜角をもって登り窯,平窯などとよびわけた過去の用語は避けたい。江戸時代から明治にかけて,須恵器は行基(ぎようき)焼,祝部(いわいべ)土器などとよばれ一部の文人,茶人間で関心をよんだが,学術研究の対象として取り上げるようになったのは大正以後である。器形,用途論に始まった研究も,近年は年代や生産流通などの問題に対する考古学的研究の資料として,本格的な取組みがなされるようになった。…

【山茶碗】より

…愛知県地方において俗に行基焼あるいは藤四郎焼と呼ばれている硬質・無釉の碗,皿類で,高台端に籾殻痕があるため,一部の地域ではもみがら焼とも呼んでいる。山茶碗の名称は山中の古窯跡に廃棄された碗,皿類の不良品が数多く散在しているところから出たものと思われる。…

※「行基焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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