日本大百科全書(ニッポニカ) 「表千家不白流」の意味・わかりやすい解説
表千家不白流
おもてせんけふはくりゅう
川上宗寿(そうじゅ)(1779―1844)を流祖とする茶道の一流派。不白流の開祖川上不白の門弟で、筑前(ちくぜん)国(福岡県)久留米(くるめ)藩主有馬侯の茶道となった川上宗什(そうじゅう)(1763―1809)の跡を継いだ宗寿は、有馬侯に仕え、柳原(やなぎわら)焼の指導にあたったり、下野(しもつけ)(栃木県)足利(あしかが)にその茶系を残したりして、川上宗順家の基礎を築いた。その嗣子(しし)宗順(1810―75)は表千家不白流2世を継いだ。ついで3世蓮心(れんしん)宗順(1838―1908)は茶器の収集に努め、鑑識にも長じており、門人に馬越化生(まごしかせい)、益田鈍翁(どんおう)、益田紅艶(こうえん)、式守蝸牛(しきもりかぎゅう)、安田松斎(しょうさい)らの近代の大数寄者(すきしゃ)がいる。1953年(昭和28)には5世宗順の襲名披露宴会が催された。現在、東京都杉並区高円寺の鳩庵で、8世家元を継承している。
[筒井紘一]