表向・面向(読み)おもてむき

精選版 日本国語大辞典 「表向・面向」の意味・読み・例文・類語

おもて‐むき【表向・面向】

〘名〙
① 表立つこと。公然たること。正式なこと。おおやけ
※清原宣賢式目抄(1534)二六条「名乗に判をするは、名字を二つかいたるもの也。判をせは名乗を略し、名乗をかかは判を略すへし。面向のものは、今も如此かく也」
※評判記・色道大鏡(1678)一「真夫(まぶ)〈略〉表向の買手にあらずして、密通する男をいふ」
② (副詞的にも用いられる) 世間に対すること。世間体(せけんてい)。うわべ。表面上のこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
翁問答(1650)上「おもてむきばかり義理だてをして、心には財宝利欲立身のみむさぶりぬるを下とす」
③ 公務。特に、江戸幕府や諸藩の政務をとる所。また、その仕事の方面。⇔奥向(おくむき)勝手向(かってむき)
浮世草子・好色一代女(1686)一「惣じて大名は面(オモテ)むきの御勤めしげく」
④ 公的な事柄や機関。官辺。そのすじ。また、それにかかわる事態。特に裁判沙汰。訴訟。公事(くじ)
※浮世草子・世間娘容気(1717)一「或時町内檜物屋へ壱貫五百匁の預け銀不埒につき、『近日表向(オモテムキ)へおねがひ申』とのとどけによって」
家業。また、店、店構え
※浮世草子・好色五人女(1686)三「万(よろづ)にかしこき人もがな跡を預けて表(オモテ)むきをさばかせ」
⑥ 家の正面にあたる方向。その家の正式の場所。また、表玄関
※酌并記(1532‐70頃)「昔は書院おもてむきの座敷にはすみを立て置なり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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