袖垣(読み)そでがき

精選版 日本国語大辞典 「袖垣」の意味・読み・例文・類語

そで‐がき【袖垣】

〘名〙
① 門や建物の脇に添えて造った短い垣。目隠しとして、また、庭に趣をそえるためのもの。
万代(1248‐49)秋下「心なき賤のしわざと見えぬかな朝顔咲ける柴の袖かき〈源有仁〉」
② 袖で顔をおおい隠すこと。袖を垣にみたてていう。
※雑俳・柳多留‐三三(1806)「袖垣で姫百合顔をかくしたし」
関船・小早・川御座船などの垣立(かきたつ)船尾寄りの一部を高くした垣立部。関船では角立(すみたつ)を含めて船首側へ立(たつ)六本分を高くして袖垣を形成するので六本立ともいう。〔和漢船用集(1766)〕

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デジタル大辞泉 「袖垣」の意味・読み・例文・類語

そで‐がき【袖垣】

建物などのわきに添える幅の狭い垣。
和船とものほうに、垣根のように高く作ったもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「袖垣」の意味・わかりやすい解説

袖垣
そでがき

建物に取り付いて設けられた幅の狭い垣根。用いられる材料や形状にかかわりなく、そのような状況の垣根を総称する。主として目隠しのためにつくられ、庭園の点景にもなっている。材料としては、木、竹(丸竹、潰(つぶ)し竹、割り竹)、篠竹(しのだけ)、竹の穂、そだ、ハギクロモジ、杉皮、網代(あじろ)などが使われ、材料や形状あるいは竹などの組み方から、柴(しば)垣、清水垣、鉄砲垣網代垣、杉皮小網代垣、菱(ひし)垣、矢の竹垣、立合垣、高麗(こうらい)垣などの名称がつけられている。部分的な特徴ある組み方などに、窓、丸窓、よろい形、透かし、格子、菱目、松明(たいまつ)、小待(こまち)、霞(かすみ)、宗旦(そうたん)好み、萩(はぎ)乱れ、茶筅(ちゃせん)、時雨(しぐれ)、両面、鉄砲、車、寄り合いなどさまざまな名称がつけられている。

平井 聖]

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とっさの日本語便利帳 「袖垣」の解説

袖垣

日本家屋で、玄関の脇や裏木戸の周囲などに目隠しを目的にして作られた垣根。竹を主材料とし、多くは建物の柱や壁に接して立てられた小振りな塀で、形も大きさも一定していないが、いずれも和服の袖に似ているところからこの名称が付いた。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内の袖垣の言及

【垣】より

…桂離宮の周囲に用いられている竹垣のように,生きたままの竹の幹を折り曲げて編むようなものもあった。袖垣(そでがき)は建物に接してつくられる小規模な垣で,竹や木枝を材料とする。 一方,恒久的な材料を用いる垣としては石垣や石柵がある。…

※「袖垣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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