袴狭遺跡(読み)はかざいせき

日本歴史地名大系 「袴狭遺跡」の解説

袴狭遺跡
はかざいせき

[現在地名]出石町袴狭など

袴狭川に沿った南岸、六方ろつぽう(小野川)と袴狭川の両河川が形成した標高八・四メートルの低湿地に立地する。此隅このすみ山から西に向かって張出した丘陵の北麓にあたり、南麓には出石神社が所在している。八世紀前半代の官衙遺跡で、今のところ延暦二三年(八〇四)以前の建物跡は確認されていない。昭和六三年(一九八八)に発見され、数次の発掘が行われている。

昭和六三年の確認調査では律令期の木製祭祀具が大量に発見され、祭祀遺跡として注目された。その後、平成二年(一九九〇)に柱根とこれに伴う整地層が確認され、同四年I地区で掘立柱建物跡が見つかり、官衙遺跡としての性格が想定されるに至った。この調査では掘立柱建物三棟・塀二条・溝三条が発見された。建物1は調査区の北隅で確認されたもので、北西隅および東へ一間分の二本の柱根が出土。柱は径二〇センチで、一〇角に面取りされている。柱間は二・四メートルで、調査区外の北東に広がる建物である。建物の西側には南北方向の小溝(溝4)があり、南には板塀が取付く。建物2は東西二間以上・南北三間の礎石総柱建物で、柱間寸法は桁行二・四メートル、梁間一・四メートルである。礎石は径五〇センチ程度で九個が遺存し、花崗岩や玄武岩が使われている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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