産業のなかで有機または無機の物質に物理的・化学的変化を加えて新製品を製造する産業をいう。日本標準産業分類(1993年10月改定)では,化学,鉄鋼,輸送用機械器具,電気機械器具など中分類で23業種を製造業としている。これに対し一般には電力・ガス業,運輸・通信業,卸・小売業,建設業,不動産業などを非製造業として区分する。第2次大戦後の日本経済の高度成長を支えてきたのは製造業の発展によるところが大であった。豊富な労働力と欧米の先進技術の導入によって鉄鋼,石油化学,造船,自動車,電子工業などで世界のトップ水準の生産力を築いた。国内需要の拡大が製品の質の向上と価格低下を招き,輸出拡大を実現した。今後,製造業は新素材,エレクトロニクス,バイオテクノロジーなどの先端技術を開発し応用する時代に突入する。先進各国がこれら先端技術分野で独自の開発を進め,一方で共同研究を積極的に行うことも必要となる。
執筆者:北原 正夫
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…また,他の工業で生産された製品を原材料や部品として用い,さらに加工して新しい製品を生産する事業も工業である。農林水産業や鉱業が,主として自然を利用して生産物を育成したり,自然界に存在する物を取り出して生産物を生み出す事業であるのに対し,工業は他の生産物に種々な加工を施したり,他のいくつかの生産物を組み合わせたりして,新しい有用な生産物を作り出すので,製造工業あるいは製造業manufacturingとも呼ばれる。工業で生産された生産物は,人間によって消費されるか,他の事業で原材料,部品に機械として利用されるものであり,この意味で,住宅,ビルディング,橋などの建設事業は工業に含まれない。…
…鉱業および工業の総称。日本標準産業分類に即していえば,大分類の鉱業と製造業がこれにあたり,中分類中の四つの鉱業と,22の製造業のことである。生産額からみると,日本の場合は当然ながら圧倒的に製造業が多い。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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