覚海(読み)かくかい

朝日日本歴史人物事典 「覚海」の解説

覚海

没年貞応2.8.17(1223.9.13)
生年康治1(1142)
平安末から鎌倉前期の真言宗の僧。密教研究に新時代を画す。醍醐寺の定海,高野山の寛秀に学んだのち,講座を開き多くの俊才を養成。学識,霊能ともに優れ,高野山の密教研究に新風を巻き起こした。建保5(1217)年,金剛峰寺第37世検校。中世期の密教界で大問題とされ,性的修法の是非論や政治上の見解にまで影響した「而二不二」説,つまり宇宙の根本原理は多か一かという論争は覚海に始まる。教化にも熱心で最初期の仮名法語の作者でもある。主著(口述)は『聴海抄』,『覚源抄』。弟子に法性,道範,真弁など。<参考文献>高野山大学「覚海大徳記念号」(『密教研究』10号)

(正木晃)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「覚海」の解説

覚海 かくかい

1142-1223 平安後期-鎌倉時代の僧。
康治(こうじ)元年生まれ。醍醐(だいご)寺の定海について真言をまなぶ。高野山で寛秀から灌頂(かんじょう)をうけ,華王院をひらく。建保(けんぽ)5年(1217)高野山検校となり,在任中に吉野金峰山との寺領の境相論がおき,その訴訟に苦心した。貞応(じょうおう)2年8月17日死去。82歳。但馬(たじま)(兵庫県)出身。俗姓は源(みなもと)。字(あざな)は南勝房。通称は和泉法橋。
格言など】同行同法として一師に同じ法文を習えども,心に随いて其の益,不同なり(「覚海法橋法語」)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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