ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィリップ2世」の意味・わかりやすい解説
フィリップ2世
フィリップにせい
Philippe II, Auguste
[没]1223.7.14. マント
フランス王 (在位 1180~1223) 。カペー王権を急速に発展強化させた国王として知られる。王国の皇帝の意をこめて「尊厳王」と通称される。イザベル・ド・エノーとの結婚によりアルトアを合併 (1180) 。当時,イングランド,フランスにまたがるプランタジネット家のいわゆる「アンジュー帝国」に対抗,プランタジネット王室の内紛を利用して,ヘンリー2世,その息子リチャード1世,次いでジョン王 (欠地公子) と争い,最後にノルマンディー,アンジュー,メーヌ,ポアトゥー,ツーレーヌのプランタジネット家領を王領に合併 (1202~06) ,1214年ドイツ皇帝オットー4世と結んだジョン王の反攻をブービーヌに撃破,王国の脅威を除いた。拡大した王領管理のために,封建貴族のような独立的存在であったプレボの上にバイイ,セネシャルをおき,プレボ職の独立性を打破し,世襲制から期限付きの請負制へと移行させた。また都市と緊密に結びつき,王領支配を強化した。南フランスのカタリ派制圧のアルビジョア十字軍を率いたが,その途上で病死した。
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