訪ふ(読み)トブラウ

デジタル大辞泉 「訪ふ」の意味・読み・例文・類語

とぶら・う〔とぶらふ〕【訪ふ】

[動ハ四]
訪問する。
「我が庵は三輪の山本恋しくは―・ひ来ませ杉立てるかど」〈古今・雑下〉
安否を問う。見舞う。
「外の人さへ…いとほしがり―・ふものを」〈落窪・二〉
さがし求める。尋ねる。
「遠く異朝を―・へば」〈平家・一〉

とむら・う〔とむらふ〕【訪ふ】

[動ハ四]《「とぶらう」の音変化》安否を問う。見舞う。
「軽薄の人は絶えて―・ふ日なし」〈読・雨月菊花の約〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「訪ふ」の意味・読み・例文・類語

とぶら・うとぶらふ【訪】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙
  2. 問う。問いたずねる。質問する。調べる。
    1. [初出の実例]「俄(しばらく)蘇我の臣問訊(トフラフ)て曰はく聖王妙(たへ)に天の道地(つ)の理を達(さと)て」(出典日本書紀(720)欽明一六年二月(寛文版訓))
  3. 訪ねる。訪問する。会いに行く。
    1. [初出の実例]「わが庵は三輪の山本恋ひしくはとぶらひきませ杉立てる門〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九八二)
  4. 安否を問う。見舞う。
    1. [初出の実例]「爰に天皇唐の帝を聘(トフラ)ひたまふ」(出典:日本書紀(720)推古一六年九月(岩崎本訓))
    2. 「大弐の乳母のいたくわづらひて尼になりにける、とふらはむとて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  5. さがし、調べる。たずね調査する。
    1. [初出の実例]「遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱异、唐の祿山」(出典:平家物語(13C前)一)

とむら・うとむらふ【訪】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 ( 「とぶらう(訪)」の変化した語 )
  2. とぶらう(訪)
    1. [初出の実例]「是に於て大伴の金村住吉(すみのえ)の宅に居(はむへ)り。疾称(まう)して朝(つかまつ)らず天皇青(あを)海夫人(おふとし)(まかり)子を遣て慰問(トムラハ)しむること慇懃(ねむころ)なり」(出典:日本書紀(720)欽明元年九月(寛文版訓))
  3. 探し調べる。さぐる。詮索する。
    1. [初出の実例]「須は其家々をたづねとむらひて」(出典:教訓抄(1233)四)

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