誓願寺跡(読み)せいがんじあと

日本歴史地名大系 「誓願寺跡」の解説

誓願寺跡
せいがんじあと

[現在地名]近江箕浦

箕浦みのうら集落の中心にあった真宗寺院で、通称箕浦誓願寺。寺伝によれば、かつては天台系寺院で、行祐が覚如に帰依して真宗に改宗したという。戦国期には湖北十ヵ寺の一つとして湖北一向一揆の南の拠点となった。江戸時代初期、後述のように彦根藩により取潰され、のち河内に寺基を移した。西光寺古記(西本願寺蔵)によれば、住持は照俊・了祐・祐賢・照従(益田少将)・照空・民部卿という歴代であった。照俊は文明一〇年(一四七八)一一月二〇日に「江州坂田南郡蓑浦誓願寺常住」という裏書のある親鸞絵像(大阪府藤井寺市誓願寺蔵)を蓮如より下付されている。

「天文日記」天文五年(一五三六)三月二日条に「今日之斎、箕浦誓願寺頭たる間つとめ候」とあり、本願寺実如の命日の頭人を勤めるとともに、同一二年一〇月三日条には「就当番之儀、箕浦誓願寺以栗餅樽持参」とあり、番役にも勤仕している。また同二一年二月二八日条には「来二日頭雖為箕浦誓願寺、在所并中郡、依錯乱門徒散在之間、為軽志五百疋来」ともある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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