豊前市(読み)ブゼンシ

デジタル大辞泉 「豊前市」の意味・読み・例文・類語

ぶぜん‐し【豊前市】

豊前

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日本歴史地名大系 「豊前市」の解説

豊前市
ぶぜんし

面積:一一一・一三平方キロ

県の東端部に位置し、東は築上ちくじよう吉富よしとみ町・新吉富村大平たいへい村、西は同郡椎田しいだ町・築城ついき町、南は大分県下毛しもげ耶馬渓やばけい町に接し、北は周防灘に面する。南境にいぬヶ岳(一一三〇・八メートル)経読きようよみ(九九二メートル)雁股かりまた(八〇七メートル)、南西境には求菩提くぼて(七八二メートル)があり、北に山々の稜線が延びる。これらの山々を源として佐井さい川・岩岳いわたけ川およびその支流が渓谷を北東流し、なか川・角田すだ川など中小河川が渓谷を北流して周防灘に注ぐ。河川流域に狭小な谷平地が開け、佐井川と岩岳川下流域の北東部では大きな扇状地平野となる。低平地は市域の約三割を占める。周防灘沿いをJR日豊本線が通り、豊前松江ぶぜんしようえ宇島うのしま三毛門みけかどの三駅がある。日豊本線に沿って南を国道一〇号が横断。宇島駅から岩岳川沿いに犬ヶ岳へ至る道、佐井川・中川・角田川沿いの道などが南北に走り、国道と結ばれる。

〔原始・古代〕

以下、考古学が対象とする遺跡・遺構・古墳などについては、豊前市域のほか築上郡域をも含めて述べる。旧石器時代後期の遺物が豊前市青畑向原あおはたむかいばる遺跡、椎田町越路六郎こいじろくろう遺跡・越路貴船こいじきふね遺跡や大平村金居塚かないづか遺跡・桑野かの遺跡などで発見されている。縄文時代草創期から早期の遺跡には築城町本庄大坪ほんじようおおつぼ遺跡、大平村金居塚遺跡、豊前市吉木よしき遺跡などがあり、前期遺跡には築城町松丸まつまる遺跡、椎田町西八田平原にしはつたひらばる遺跡・小原おばら岩陰遺跡などがある。東九州では希少な中期遺跡は砂丘上に立地する椎田町東高塚弘法田ひがしたかつかこうぼうだ遺跡にまとまった遺物出土がみられた。後期前半から中頃では集落遺跡が急増し、椎田町山崎やまさき石町いしまち遺跡、坂本下さかもとしももり遺跡、豊前市中村石丸なかむらいしまる遺跡・川内楠木かわちくすのき遺跡・挟間宮はさまみやした遺跡、新吉富村宇野台うのだい遺跡・垂水たるみ遺跡、大平村土佐井つちさい遺跡・東友枝曾根ひがしともえだそね遺跡・下唐原龍右衛門屋敷しもとうばるりゆうえもんやしき遺跡・上唐原かみとうばる遺跡などがある。後期後半には大平村原井三はらいみ遺跡・上唐原了清かみとうばるりようせい遺跡・東友枝曾根遺跡、豊前市久路土塔田くろつちとうだ遺跡・久路土六田くろつちろくだ遺跡・河原田塔田かわらだとうだ遺跡、築城町松丸遺跡・すんまる遺跡などがある。晩期には築城町十双じつそう遺跡・築城五反田ついきごたんだ遺跡、大平村下唐原川下しもとうばるかわしも遺跡、吉富町矢頭田やずた遺跡・幸子こうじ遺跡があげられるものの、後期中頃の遺跡と比較すると減少気味である。

弥生時代前期から中期の遺跡には椎田町広幡城ひろはたじよう遺跡、築城町広末ひろすえ安永やすなが遺跡、新吉富村牛頭天王ごずてんのう遺跡と中桑野なかんの遺跡、大平村伊柳いやなぎ遺跡などがあり、牛頭天王遺跡と中桑野遺跡は中期の大型掘立柱建物や環濠を有した一連の段丘上拠点集落である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊前市」の意味・わかりやすい解説

豊前〔市〕
ぶぜん

福岡県東部,周防灘にのぞむ市。 1955年八屋 (はちや) 町と角田 (すだ) ,千束 (ちづか) ,三毛門 (みけかど) ,黒土 (くろつち) ,横武 (よこたけ) ,合河 (ごうかわ) ,岩屋,山田の8村が合体して宇島 (うのしま) 市として市制。その4日後名称変更して豊前市となる。海岸の沖積平野に中心市街地の宇島があり,筑豊炭の積出港として発達した。現在は宇島港の付近に金属,機械,コンクリート,電子,プラスチック加工などの工場が立地。 76年完成の埋立て地に翌年火力発電所が操業を開始した。内陸部は広い台地で,米作のほか野菜やブドウを栽培し,山地ではクリ,木材も産する。南部の山地は耶馬日田英彦山国定公園に属する。求菩提山 (くぼてやま。 782m) はかつて修験道場として栄えたところで,国宝の銅筥・銅板法華経や重要文化財の求菩提山経塚出土品などを所蔵する国玉神社がある。犬ヶ岳のツクシシャクナゲ自生地は天然記念物。海岸部を JR日豊本線,国道 10号線が通る。面積 111.01km2。人口 2万4391(2020)。

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