豊根(読み)とよね

改訂新版 世界大百科事典 「豊根」の意味・わかりやすい解説

豊根[村] (とよね)

愛知県北東端,北設楽(きたしたら)郡の村。2005年11月旧豊根村が富山(とみやま)村を編入して成立した。人口1336(2010)。

豊根村北東部の旧村。北設楽郡所属。人口209(2000)。天竜川中流西岸に位置する県下最小の村で,北は長野県,東は静岡県に接する。村域の大部分山林で占められ,古くから良質の木材を産し,林業が主産業となっている。茶やシイタケの栽培も行われるが,人口は1920年の1496人をピークに減少を続けている。特に1935年からの4回にわたる渥美半島への集団移住や,60年の佐久間ダム建設に伴う豊橋市,高師原,天伯原方面への離村により人口は激減した。東部の佐久間湖周辺は天竜奥三河国定公園に属する景勝地。交通は天竜川対岸を通るJR飯田線を利用する。

豊根村の北東部を除く旧村。北設楽郡所属。人口1420(2000)。木曾山脈南端にあって,北は長野県,東は静岡県に接する。村域の大部分が山林で占められ,集落は天竜川水系の大入川などの河川沿いに点在するが,集落の多くは花祭を伝えていて花祭の里として有名。林業が盛んで,杉,ヒノキの良材を産出し,シイタケ栽培も行われる。北部茶臼山一帯と南東端の佐久間湖周辺は天竜奥三河国定公園に属し,民宿村が開設されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊根」の意味・わかりやすい解説

豊根(村)
とよね

愛知県北東部、北設楽郡(きたしたらぐん)にある村。2005年(平成17)富山村(とみやまむら)を編入。国道151号(別所街道)が通じる。長野県、静岡県に接し、村域のほとんどを山林が占め、林業が主産業。シイタケの特産があり、県下で初めてシイタケ栽培技術を導入した。大入(おおにゅう)川上流の新豊根ダム(みどり湖)は佐久間ダムの水を揚水して112万5000キロワットの発電をしている揚水式ダムである。川宇連(かわうれ)のハナノキ自生地は国の天然記念物、熊谷家住宅(くまがいけじゅうたく)は国の重要文化財に指定されている。設楽町津具(つぐ)地区、東栄町とともに国の重要無形民俗文化財に指定されている花祭が残っている。北部にある茶臼(ちゃうす)山は天竜奥三河国定公園に含まれる。面積155.88平方キロメートル、人口1017(2020)。

[伊藤郷平]


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世界大百科事典(旧版)内の豊根の言及

【三河高原】より

…大部分が民有林であるが1戸当りの面積規模は約5haと少なく,専業林業家はほとんどない。水資源開発も早くから行われ,天竜川水系の佐久間ダム,新豊根ダム,豊川水系の宇蓮ダム,設楽ダム,寒狭(かんさ)川ダム,矢作川水系の矢作ダム,羽布(はぶ)ダム,巴川ダムなど,洪水調節をはかるとともに,農業・工業・上水道用水に役立つ多目的ダムが建設されている。高度経済成長期以来,豊橋,名古屋方面への人口流出,挙家離村が目だち,急激に過疎化が進行した。…

※「豊根」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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