〈販売を増進させるあらゆる活動〉という広義から,〈特売策〉あるいは〈共同広告〉のみを意味する最狭義まで種々さまざまな解釈があるが,一般には,マーケティング・ミックス(〈マーケティング〉の項参照)の一要素であるプロモーションpromotion(広義の販売促進,情報提供諸活動)のうち,自社セールスマン,卸売業者や小売業者に効果的に働きかけたり,広告と人的販売をいっそう効果あるものとするため重要な役割を果たしているのが,販売促進(セールス・プロモーションともいう)である。そこで最も一般に受け入れられている定義は,〈人的販売,広告,パブリシティ以外のマーケティング活動で,消費者の購入を刺激し,販売業者の活動を効果的にするディスプレー,ショー,展示会,デモンストレーション,カタログ,見本配布,その他の販売努力〉である。略して販促ともいう。
その目的は,特定の商品や商標を販売するためセールスマンや販売業者の販売意欲をもりたてることにあり,またその商品を購入するよう消費者を刺激することにある。そこで問題となるのは,それぞれの目的を達成するために用いられる販売促進策であり,それぞれの販売促進材料がそれぞれの特定の働きをなす。したがって販売促進材料の適切な選定・組合せが特定の目的を効果的に達成させるため必要となる。もちろん,販売促進は,いかなる業種,業態,規模であれ無視しえないコミュニケーション活動であるが,とくに,新製品や新商標が導入されるとき,既存製品の改良点を知らせるとき,広告されている商品の効果を増幅するため用いられるとき,ならびにその商品の店舗販売に力を入れているときなどに効果的であるといわれる。
執筆者:出牛 正芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
販売活動の一環として、売り手が買い手に対して行う需要の喚起と刺激のための諸策をいう。英語のままセールス・プロモーションといったり、省略して販促ということも少なくない。重要なことは、その基本理念が「売りつける販売」ないし高圧的販売にあるのではなく、買い手の立場にたち、彼らが関心を抱き、欲求を高め、購買したくなるように働きかけることである。これを顧客志向もしくは消費者志向という。販売促進の手段としては、〔1〕開放的共用手段(マスコミによる広告やパブリシティ=報道による企業情報)、〔2〕閉鎖的専用手段(カタログなど)、〔3〕人的手段(実演など)、〔4〕物的手段(サンプル提供など)、〔5〕金銭的手段(リベートなど)、〔6〕組織化(友の会など)がある。また対象別の活動としては、対外的販売促進と対内的販売促進の二大分野がある。前者は、対卸売商活動(販売員訓練、販売コンテスト、卸売広告助言、情報・資料の提供など)、対小売商活動(販売店会議、広告・店舗設計・商品陳列の指導、店員教育、カタログ・景品・試供品の提供など)、対最終消費者活動(ダイレクト・メール、見本・カタログ・機関誌の提供、相談サービス、消費者教育、展示会・説明会・講演会の開催、実演、友の会の組織化など)からなっている。対内的販売促進には、対販売部門活動(販売員教育、販売コンテスト、販売資材の準備など)、対広告部門活動(広告予算など)、その他関連部門活動がある。
有効な販売促進は、各種の方策が有機的に連動することである。このような状態をセールス・プロモーション・ミックスという。また、販売促進のほとんどは買い手の購買に先行して行われるが、購買後の販売促進効果を忘れてはならない。それはアフター・サービスであり、適切なアフター・サービスは顧客満足customer satisfaction(CS)を生み出して、次の購買の有力な原動力になる。
[森本三男]
出典 (株)ジェリコ・コンサルティング流通用語辞典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
※「販売促進」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新