翻訳|rebate
売手側が支払を受けた額の一部を買手側に払い戻すこと,およびその払い戻されたものをいう。割戻し,歩戻しなどともいう。長期契約や大量契約をしてくれた買手に対する特別な割引制度の一つとして,欧米では通常の商取引であり,契約に明文化されることも多い。一例をあげると,カナダの公営電力会社と民間のアルミニウム精錬会社との20年間の電力売買契約のなかに,リベートとして生産開始後数年間は電力料金の一部を払い戻すことが含まれているものがある。アルミニウム精錬会社は大量の電力を長期間購入するが,生産開始直後は借入金の支払等の負担から採算が苦しいためにとられた措置と考えられる。
日常会話では,リベートという言葉はより広い意味をもつ。(1)払戻しを受けるのが支払った人ではなく,仲介者などの場合にも使う。典型的なのは,パリの土産物屋に観光客を連れて来た旅行業者が,観光客の支払った金額の一定割合を受け取るような例で,これが商慣習になっていたり,契約で行われることもある。(2)売手側が購入側の特定の人(個人)に対して,支払われた金額の一部を提供する場合にも使う。例えば,大学にコンピューターを売った会社が,その大学の購入担当者に,現金を贈呈するような例である。この(1)と(2)のリベートは,料金や価格の割引という経済効果はなく,売買で世話になった個人に対する〈特別の謝礼〉の一種である。なお,(1)と(2)のリベートでは,買手側がリベート相当分だけ高い価格で支払う結果になったり(通常の価格にリベートを上乗せした価格になる),また,品質,機能,デザインについて公正な比較が行われずに購入が決定される可能性があり,この点からリベートは悪いイメージをもった言葉として使われることも多い。この場合,国によっては贈収賄罪の対象となることもある。
執筆者:下田 雅昭
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割戻し。支払い代金や利子などの一部相当額を支払人に戻すこと、あるいはその戻した金銭のこと。代金そのものを減額するのは割引discountであり、割戻しは代金授受と別に行われる。常得意先との取引が一定金額以上になった場合、得意先が特別な販売努力をしたり販売サービスをした場合などにリベートを出すことが多い。リベートは物品売買についてばかりでなく、海陸空運送業や保険業のようなサービス業でも行われる。リベート率(割戻し率)は、一般に、慣習、もしくは得意先が支払人にもたらした費用効果によって決まる。リベートは好ましからぬ金銭・経理操作に用いられることがあるため、法律で禁止されている例もある。
[森本三男]
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