資産公開(読み)しさんこうかい

知恵蔵 「資産公開」の解説

資産公開

議員の資産を国民の監視の下に置き、地位を利用した蓄財や政治資金の私的流用などをチェックするのが狙い。リクルート事件反省から国会議員の資産・所得の公開制度が1993年1月から始まった。国会議員は任期開始の時に持っている土地、建物、預貯金有価証券、自動車、美術工芸品、ゴルフ会員権などを記した資産報告書を100日以内に議長に提出しなければならない。任期が始まった後は、新たに資産を持った場合には補充報告書を4月に提出する。収入や所得も、前年分の総所得金額などを書いた所得報告書を翌年4月中に議長に出す。また毎年4月に、報酬を得て会社などの役員顧問などの職に就いている時は、会社、役職名を記載した関連会社報告書を出さなければならない。両院で閲覧ができるが、コピーが認められておらず、批判がある。罰則はなく、株式名の記載を拒否した議員もいる。違反の内容によって政治倫理審査会の審査対象になる。閣僚の資産公開も中曽根内閣時代の84年1月から始まり、その後、政務官・副大臣にも拡大。同居する親族の資産も届け出対象になっている。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「資産公開」の意味・わかりやすい解説

資産公開
しさんこうかい

1984年の第2次中曽根内閣から始められた慣行。公開される資産の範囲は,閣僚本人名義の (1) 土地・建物,(2) 当座預金を除く預貯金と国債公債・株式・投資信託貸付信託などの有価証券,(3) 貸付金と借入金,(4) ゴルフ会員権,自動車のほか 100万円以上と推定される書画刀剣などの美術工芸品である。資産評価の基準は,土地などについては固定資産税課税標準価格,株式などについては額面価格などで示されるために,時価とかけ離れた低額となっている。リクルート事件を契機に本人だけでなく,家族名義の資産について,閣僚の就任時だけでなく退任時の資産も公開されるようになったほか,新たに政務次官の資産についても閣僚と同様に資産公開が行なわれるようになった。さらに 92年に成立した国会議員資産等公開法により,対象議員は全国会議員にまで広められた。

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