日本の自動車技術240選 「NAVI-5」の解説
NAVI-5(電子制御式自動5段変速機)
製作(製造)年1984
製作者(社)いすゞ自動車株式会社
資料の種類量産品
現状使用中・公開
型式名なし
会社名いすゞ自動車㈱
適用車種乗用車(いすゞアスカ)
実用化年1984
装置構成1.アクチュエータユニット:クラッチ及びトランスミッション制御用一体型油圧式ユニット2.パワーユニット:自己圧力制御機能付きアキュムレータ一体型油圧ポンプユニット3.コントロールユニット:大型セラミックス4層基板にちっぶ素子のサーフェースマウントを採用した超小型ECU4.HASユニット:専用電磁弁を採用した坂路発信補助装置5.インジケータユニット:シフト位置、ギヤ位置の表示及びシステム警報ランプ、故障コードのデジタル表示ユニット
機能・作用等1.自動変速、手動変速機能:D3、D4レンジでは走行状況に応じてECUが最適ギア段に自動変速、D1~D4レンジをマニュアル操作すれば、レバー位置に応じたギア段に変速2.クラッチの自動断続機能:発進・微速・変速・停止の各運転状況に最適なクラッチの自動継続3.スロットルの開閉機能:発進、走行時のアクセル使用時等のエンジン負荷に対する自動補正4.HAS機能:坂路停止時等にブレーキ力を保持、発進時トルクの伝達点を検出してブレーキ力を自動解除5.オートクルーズ機能:設定速度に対し自動変速機能も使用して坂路等でも精度よく速度維持6.自己診断・バックアップ機能:高精度の故障診断と確実なバックアップ及びミスシフト、オーバーランを防止
効果1.エレクトロニクスを活用し、燃費等手動変速機の特徴を活かしながら、自動変速機の運転の容易さを両立2.エンジン、クラッチ、トランスミッション、ブレーキ等を総合的にきめ細かく制御し、今日の車両総合制御技術やメカトロニクス技術等、「Drive by Wire」の草分けとして大いに貢献
エピソード・話題性マニュアルトランスミッションを電子制御により完全自動化した世界初の全自動5段変速機として自動車業界のみならず、油空圧、機械、エレクトロニクス各業界から賞賛された。
特徴従来のマニュアルトランスミッション、乾燥単板クラッチを用い、ベテランドライバーの運転操作や感覚を人間工学的に解析し、人間が手足で行う運転動作の大部分を電気-機械系に置き換え、場合によっては人間以上の操作を行うシステム。1.自動変速、手動変速が選択可能2.燃費がよく、バラつきが少ない3.初心者でもM/Tの運転が容易4.クリープな安全性が高い5.自動変速車で押しがけが可能
参考文献1.渡部 陽、窪田昌史、畔柳楯三、斉藤英夫、木島栄一他「いすゞアスカ用イージードライブシステムの開発(特集)」いすゞ技報Vol.72、19842.畔柳楯三他「マイクロコンピュータによる機械式クラッチ及びトランスミッション制御」自動車技術会<駆動系の計測と制御>シンポジウム、19843.A. Watanabe、J. Kuroyanagi、H. Saito、T. Hattori「Isuzu New Transmission Control System」、JSAE Review、1984-114.A. Watanabe、J. Kuroyanagi、T. Hattori「Microcomputer Mechanical Clutch and Transmission Control」、SAE Paper、No. 8400555.秋間秀夫他 富士通技報「FUJITU」Vol. 35、No.3、 1984
その他事項設計者(代表):石原正紀;協力者:富士通㈱、㈱ゼクセル;実写所在:㈱いすゞ中央研究所;装置電源:12V;作動油:NAVI専用オイル;作動油圧:3.7~5.0Mpa;クラッチアクチュエータ推力:1373N以上;シフトアクチュエータ推力:343N以上;セレクトアクチュエータ推力:98N以上;コントロールユニット:8ビットマイコン(RAM192バイト、ROM 8kバイト)、入出力55回路;エンジン:4ZC1(ガソリン、1.994L);クラッチ:乾燥単板(直径215mm);トランスミッション:MTA型5速TM;駆動方式:前輪駆動(FF)方式;シフトパターン:パワーレンジ付きHパターン;
出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報