質量とエネルギーの等価性(読み)しつりょうとエネルギーのとうかせい(英語表記)equivalence between mass and energy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

質量とエネルギーの等価性
しつりょうとエネルギーのとうかせい
equivalence between mass and energy

一般には一定量の質量 m は一定量のエネルギー mc2 (c は真空中の光速度) に対応することをいう。すなわち 1kg の質量は 9×1016 J のエネルギーに対応する。したがって,ある反応の前後体系静止質量Δm0 だけ減少するとき,運動エネルギー,熱エネルギー,電磁波 (光) エネルギーなどが Δm0c2 だけ増加する。また逆に静止質量が増加すると,エネルギーが減少する。すなわち体系の静止質量 m0 はエネルギー m0c2 に対応する。通常このエネルギーを質量のエネルギーと呼ぶ。化学反応においては静止質量の変化の割合は 10-10 程度できわめて小さいが,原子核が関係する現象においてこの割合は最高約 1%にも達し,質量とエネルギーの等価性が顕著に現れる。この等価性は初め A.アインシュタイン特殊相対性理論から導き出されたが,1932年 J.コッククロフトと E.T.S.ウォルトン陽子7Li に当てて 2個のα粒子に転換させる核反応の実験で検証した。核分裂核融合の際には静止質量の変化が著しく,多量の運動エネルギーや光のエネルギーが生じる。このように原子核の中には質量の形でエネルギーがたくわえられているとみなし,これを核エネルギー,あるいは俗に原子力という。

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