化学辞典 第2版 「赤外スペクトル」の解説
赤外スペクトル
セキガイスペクトル
infrared spectrum
略称IR.赤外部に現れる発光または吸収スペクトルで,約0.8 μm~1 mm の範囲のスペクトルをいう.通常,赤外吸収スペクトルのことをいう.吸収スペクトルは,おもに測定に用いるプリズムなどによって,近赤外領域,岩塩領域,臭化カリウム領域,遠赤外領域などに区分される.分子の振動に起因する比較的幅の狭い吸収帯が数多く現れる.これを振動スペクトルという.これらの吸収帯の位置や強度は,各分子ごとに異なり,分子の種類の区別が可能となる.広く化合物の同定や官能基の定性,または定量分析に応用される.簡単な分子の気体では,分子の回転にもとづく微細構造を伴う振動回転スペクトルが現れる.これは分光器の波長較正に利用される.遠赤外領域には回転だけによる回転スペクトルが現れる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報