赤心を推して人の腹中に置く(読み)セキシンヲオシテヒトノフクチュウニオク

デジタル大辞泉 の解説

赤心せきしんしてひと腹中ふくちゅう

《「後漢書」光武紀から》心から人を信じて、まごころをもって接することのたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 の解説

せきしん【赤心】 を 推(お)して人(ひと)の腹中(ふくちゅう)に置(お)

  1. ( 「後漢書‐光武紀上」の「蕭王推赤心腹中、安得死乎」から ) まごころをもってすべての他人に接し、少しのへだてもおかない。
    1. [初出の実例]「古い言葉に赤心を推して人の腹中に置くと云ふのがありますが」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上)

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故事成語を知る辞典 の解説

赤心を推して人の腹中に置く

人を疑わないことのたとえ。また、まごころを持ってすべての人に接することのたとえ。

[使用例] 古い言葉に赤心を推して人の腹中に置くと云うのがありますが、赤心とか誠実とか、これは人の教養の力が加わっておさえたり丸めたりしたあげくのものです[石坂洋次郎若い人|1933~37]

[由来] 「後漢書こう紀・上」に見えるエピソードから。一世紀の中国、後漢王朝が樹立される直前混乱の時代のこと。反乱軍を鎮圧した武将りゅうしゅうは、降参してきた相手を信頼し、彼らの間をたいした護衛も付けずに歩き回りました。それを見た反乱軍の兵たちは、「劉秀は『赤心を推して人の腹中に置く(自分と同じようなまごころが、他人の腹の中にもあると信じている)』。この人のためなら命を投げ出してもかまわない」と感激し、みな忠誠を誓った、ということです。人々の支持を得た劉秀は、やがて光武帝となって後漢王朝を開くことになります。なお、「赤心」は、まごころをいいます。

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