赤穂浪士(小説)(読み)あこうろうし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤穂浪士(小説)」の意味・わかりやすい解説

赤穂浪士(小説)
あこうろうし

大仏(おさらぎ)次郎の代表的な長編小説。1927年(昭和2)5月~1928年11月『東京日日新聞』連載、1928~1929年改造社刊。3巻。不幸な境遇に育った堀田隼人(はやと)は母の期待を裏切って虚無的な行動に走り、やがて上杉家の家老千坂兵部(ひょうぶ)のスパイ組織に加入し、大石良雄たちの動静を探る。赤穂義士とせず浪士としたところに作者批判がうかがわれるが、隼人軌跡には昭和初期の鬱屈(うっくつ)した青春が影を落としており、そこに知識人文学としての共感が得られた。

尾崎秀樹

『『赤穂浪士』上下(1979・朝日新聞社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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