距離測量(読み)きょりそくりょう(その他表記)distance survey

日本大百科全書(ニッポニカ) 「距離測量」の意味・わかりやすい解説

距離測量
きょりそくりょう
distance survey

地上の2点間の距離を測る測量で、角測量とともに各種の地上測量法の基本的な要素である。明治・大正時代に三角測量が全国的に行われたときには基線測量といい、数キロメートルあるいは十数キロメートルの基線の長さを全国10余か所に測量して基礎とした。三角測量を独立して行う場合には、最初の1辺すなわち基線の長さを測る距離測量が必要である。多角測量では各節点間の距離測量が行われる。1970年代には電磁波測距儀の発達により距離測量の精度が角測量以上に向上したので、三角形の3辺の長さのみを測量し角度は測量しない三辺測量が三角測量の代用とされるようになった。

 距離測量の方法には大別して直接測距間接測距、電磁波測距がある。直接測距は、2点間に目盛り尺を当てて直接距離を求める方法で、尺としては、温度変化による伸縮のほとんどない、もっとも精密なインバール尺のほか、鋼製の鋼巻尺あるいは鋼尺が精密な測量には使われ、その際は10キログラムの張力をかけて尺の伸びと懸吊(けんちょう)曲線の形を一定に保つ。そのほか、布巻尺、エスロン製のエスロン尺なども使われるが、チェーンや竹尺はもはや使われない。間接測距はスタジア測量あるいはタキメトリーtachymetryともよばれる。

[尾崎幸男・辻 宏道 2016年11月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「距離測量」の意味・わかりやすい解説

距離測量
きょりそくりょう
distance surveying

水平面上の2点間の距離を精密にはかる測量。測定法には大別して次の2つがある。 (1) 間接測定法 三角測量で三角形の内角を観測することによって1与辺を基礎に正弦比例式から他の2辺を間接に求める方法やスタジア測量でスタジアの長さを観測して距離を間接に求める方法がある。 (2) 直接測定法 基線測量にみられるように,鋼巻尺,張力計,水準器などを用いて尺取り式に直線をはかり,温度補正や傾斜補正をしながら2点間を精密に測定する方法。電磁波測距として,ジオディメータなどの光波測距儀で2点間の一方の主局から変調光波を送り,他方の従局からプリズムで反射して主局に返送し,光が往復する時間を光の干渉波によって求めて,距離を求める方法があり,昼間は遠方まで測定できなかったが,レーザーを用いるようになって 60kmぐらいまで測定可能となっている。さらには,光波の代り電波を用いた電波測距儀のテルロメータ,エレクトロテープではかる方法,継続電波を用いる航海用のショーラン,ロランなどがある。

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世界大百科事典(旧版)内の距離測量の言及

【測量】より

…1795年にはC.F.ガウスが,ほとんど同時にA.M.ルジャンドルが,最小二乗法理論を発展させ測量データの精度を一層向上させた。この時代にはほぼすべての地上測量用器の基本は開発され,以後その改良が進められていたが,20世紀後半における電子工学の発展に伴い電磁波測距儀が開発され距離測量が広く用いられるようになったことと,写真技術の発達に伴う写真測量の発展に著しいものがある。さらに,人工衛星や電波星を利用した測量が開発されるに及び,測量手段は宇宙にまで発展している。…

※「距離測量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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