身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(読み)ミヲステテコソウカブセモアレ

精選版 日本国語大辞典 の解説

み【身】 を 捨(す)ててこそ浮(う)かぶ瀬(せ)もあれ

  1. 一身を犠牲にするだけの覚悟があって、初めて活路を見出し、物事に成功することができる。
    1. [初出の実例]「もののふのやたけごころのひとすじに身を捨てこそうかぶ瀬もあれ」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)上)

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ことわざを知る辞典 の解説

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

溺れかかったときは、あがけばあがくほど深みにはまってしまうが、逆に、捨て身になって流れにまかせると、浅瀬に浮かぶこともある。窮地におちいったときも、事態を冷静にとらえ、物事の推移を見きわめれば、やがて活路を見いだすこともできるというたとえ。

[使用例] 身を捨ててこそ浮かぶ瀬あるものでして、と苦労人忠告、その忠告は、まちがっています。いちど沈めば、ぐうとそれきり沈みきりに沈んで、まさに、それっきりのぱあ、浮かぶお姿、ひとりでもあったなら、拝みたいものだよ[太宰治*二十世紀旗手|1937]

[解説] 降りかかった災厄渦中に巻き込まれると本能的にあがこうとしますが、むしろ流れに身をまかせることが好結果を呼ぶところから、に執着するなといういましめとしても使われます。

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とっさの日本語便利帳 の解説

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

全てを投げうつ覚悟で事に臨めば、道が開けることもある。思い切って身体水中に沈めれば逆に浮かび上がることもあるという経験則だが、本来は「でも……」と続くはずが、励ましの意味で使われるから、ことば面は現実的で使用は理想的。

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