改訂新版 世界大百科事典 「身丁銭米」の意味・わかりやすい解説
身丁銭米 (しんていせんまい)
shēn dīng qián mǐ
中国,五代から宋にかけて,主戸・客戸を問わず,20歳から59歳まで,すべての成年男子に課された人頭税。〈丁口の賦〉として天下の五賦のひとつにあげられている。原則として銭納であったが,丁絹・丁麦・丁米などもあり,両税の夏税徴収時に同時に徴収された。四川・華北にはなかった。北宋で1011年(大中祥符4),全国の身丁銭45万余貫がいったん免除されたが,まもなく復活,以後,短期の免除をくり返しながら南宋まで存続する。税額,品目,廃止の時期などは地域によって異なる。両浙地方(江蘇省南部・浙江省)では,県によっては客戸のみに課され,主戸の身丁銭は両税にくみ込まれた所もあり,1206年(開禧2)には全廃された。湖南・湖北・福建・広南などでは南宋末まで存続,両浙とは反対に田税を丁米で徴収している地方もある。土地をもたない客戸にとってはとくに重い負担で,溺子(嬰児殺し)や戸籍上成年男子の数を少なく申告する漏口の原因ともなった。
執筆者:柳田 節子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報