日本大百科全書(ニッポニカ) 「車両限界」の意味・わかりやすい解説
車両限界
しゃりょうげんかい
鉄道車両の横断面の大きさの制限値。鉄道の軌道上を車両が走行する場合、車両の通路として一定断面の空間が必要である。この空間を確保するために、直線上に静止している車両に対して定めた制限値を車両限界という。また、走行中の車両は動揺、振動、傾斜して車両限界の外側に出る可能性があるため、これらに対する余裕を考慮して、周囲の地上設備にも制限値を設定する必要がある。この地上設備に対する制限値を建築限界という。曲線区間では車両の両端部は曲線の外側に、中央部は曲線の内側に出てくるので、曲線半径に応じて建築限界を拡大する必要がある。建築限界の拡大量は、曲線半径、車体の長さ、二つの台車の中心間距離などによって決まる。
車両限界は、停車時に開閉する戸扉、除雪車の除雪装置、操重車のクレーンを使用している場合など、合理的な理由のあるものには適用が除外される。また車両限界の大きさは、国により、鉄道会社や線区によってかなりの差がある。
[福田信毅]