車宿(読み)クルマヤド

デジタル大辞泉 「車宿」の意味・読み・例文・類語

くるま‐やど【車宿】

車夫を雇っておき、人力車荷車で運送することを業とする家。車屋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「車宿」の意味・読み・例文・類語

くるま‐やどり【車宿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 貴人の邸宅寺院などで、牛をはずした牛車(ぎっしゃ)や輿(こし)を入れておく建物。総門の内、中門の外にある。輿宿(こしやどり)
      1. 車宿<b>[ 一 ]</b><b>①</b>〈法然上人絵伝〉
        車宿[ 一 ]法然上人絵伝
      2. [初出の実例]「車やどりにさらにひき入れて、轅ほうとうちおろすを」(出典:枕草子(10C終)二五)
    2. 外出の際、しばらくの間車を寄せて牛馬を休めた控え屋。また、そのための家。多く女を置いたり、女のいる家をあてたりした。
      1. [初出の実例]「賀茂祭也。明豪僧都車宿、高構棚。〈略〉為見物登居女房道俗等乱落云々。〈略〉僧車宿已有制所禁也」(出典:権記‐長保二年(1000)四月一四日)
  2. [ 2 ] ( 清水寺参詣者の車を置いたところから ) 京都清水寺仁王門西北の旧地名。
    1. [初出の実例]「はや程もなく是ぞ此、車宿り、馬とどめ」(出典:光悦本謡曲・熊野(1505頃))

くるま‐やど【車宿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 人力車または荷車を置き、車夫をかかえておいて、客の求めに応じる家。車屋。
    1. [初出の実例]「三田八幡〈略〉西に牛つかふ車宿(ヤト)」(出典:一目玉鉾(1689)二)
  3. 地方大名上京のとき車を寄せる常宿。
    1. [初出の実例]「たからくらべせんとて、打でのこづちかひにやる、かわりは車宿(くるまやど)にあるとゆふ」(出典:天正本狂言・宝買(室町末‐近世初))

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世界大百科事典(旧版)内の車宿の言及

【寝殿造】より

…敷地の南半には大きな池を掘るため,通常南には門がない。中門廊と築地の間に侍所(さむらいどころ),車宿(くるまやどり)などを,敷地の北部には雑舎を建てる。左右対称の殿舎配置が原則である(図1)。…

※「車宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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