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農民工

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

農民工

農村出身の出稼ぎ労働者を中国語でこう呼ぶ。中国ではもともと都市住民と農村住民とで戸籍上の扱いを区別し、人口移動を厳しく制限してきた。一方、80年代以降の経済成長は、沿海地域を中心に都市部の工場が多くの労働力を必要としたため、農村戸籍のまま都市部に滞在する出稼ぎ者が増加。メード・イン・チャイナの担い手となった。都市の発展は、サービス産業での農民工の働き口も増やすこととなった。一時的な出稼ぎではなく、家族を連れて都市部に定着する者も少なくない。この場合、制度上は都市民扱いされず、子供の初等教育などの行政サービスを受けられないという問題が生じている。

(2009-03-03 朝日新聞 朝刊 アジア)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

農民工
のうみんこう

中国において、居住地の農村から離れて都市部に出て就労する出稼ぎ労働者をさすことば。とくに貧困地帯である内陸部の河南(かなん)省や湖南(こなん)省などの出身者が、沿岸部の上海(シャンハイ)や深(しんせん)などへ移動し、建設業、製造業などに単純労働者として従事するのが一般的である。中国では厳しい戸籍管理制度が実施されているため、農民工は都市部で長年働いたとしても、戸籍上その都市の住民になれず、身分も農民のままのケースが多い。また、都市部出身の労働者と比べて労働条件が悪く、収入も少ない。さらに、農民工の子供が都市部の公立学校に入学するのはむずかしく、医療保険の加入率が低いなど、福祉厚生面でも都市部住民と大きな差がある。
 中国国家統計局の統計では2013年時点の農民工の総数は約2億7000万人。「農民工に都市部住民と同じ権利を与えるべきだ」と主張する世論が高まっていることを受け、農民工による労働組合が認められ、戸籍移動を緩和するところも増えている。都市部住民との格差はまだ大きいが、雇用条件などが改善されつつある。[矢板明夫]

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