近視の手術ʹʹ向いている人、向いていない人

六訂版 家庭医学大全科 の解説

近視の手術ʹʹ向いている人、向いていない人
(眼の病気)

 近視により視力が低下した場合、以前であれば眼鏡コンタクトレンズを使う以外に視力を矯正する方法がありませんでしたが、最近では手術によって近視を治療することが可能になっています。これは屈折矯正(くっせつきょうせい)手術と呼ばれていて、そのうち現在最も多く行われている近視の手術はレーシックLASIK)です。

 レーシックは、まずマイクロケラトームと呼ばれる器具あるいはフェムト秒レーザーで、黒目の表面(角膜)を薄くはがして、内側エキシマレーザーで近視の度数だけ角膜を(けず)り、その後表面を元にもどします。神経の通っている表面は傷つきませんから、痛みはほとんどありません。手術後は、翌日から眼鏡やコンタクトレンズがなくても遠くが見やすくなり、多くの方は結果に満足されます。

 ただし、近視であれば、レーシックによって誰でも見えるようになるというものではありません。近視以外に眼に病気がある場合は向いていませんし、近視が強すぎても、弱すぎてもだめです。あるいは、近視が進行している途中ですと、せっかく手術で視力が回復しても、しばらくすると近視が出てきてしまいますので、1年以上眼鏡やコンタクトレンズの度が変わっていない人に限られます。また、老眼は治りませんので、40代後半以降になると、眼の悪くない人と同じように、遠くがよく見えても、近くを見るのに老眼鏡が必要となります。

 レーシックは、眼鏡やコンタクトレンズが合わない方、近視であることをコンプレックスと思っていて、手術後にだいたい見えるようになればよいと思っている方にはとてもよい方法です。

 しかし現在の医学水準では、手術で眼鏡やコンタクトレンズ以上によく見えるようにはなりません。むしろ若干弱めの眼鏡やコンタクトレンズをした時の見え方に近くなります。また、手術後に元にもどすことはできませんし、手術ですから、頻度は低いですが副作用の可能性はあります。希望される方は、一度検査を受けて眼科専門医とよく相談されることをすすめます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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