デジタル大辞泉
「消印」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
けし‐いん【消印】
〘名〙 (消したしるしに押す印の意)
① 江戸時代の訴訟で、内済
(ないさい)(=
和解)が聞き届けられ、または判決が下ったあと、訴訟人が
訴状の裏に
加印している各奉行を巡歴し、印形を消してもらい、これを掛奉行所へ納める手続のこと。また、その消された印形のこと。これにより、訴訟は終了となる。
※禁令考‐後集・第一・巻八・天明元年(1781)五月「御勘定奉行桑原伊予守初判出直し、消印之儀者、評定日評定所え相廻し、於内座消印之積り」
② 役所に提出された
願書を取り下げる場合、取り下げたことを確認するため、さきに受理されたときに押された
役人の印を消すこと。
※
諸問屋再興調‐二・嘉永四年(1851)九月一三日・江戸繰綿問屋請書・江戸町年寄館役所宛「願書御下げ罷成、則消印仕、為御受一札差上申候」
③ 郵便局で、郵便
切手や
はがきの証票の上に使用ずみのしるしとして押す日付印。スタンプ。
※南海日報‐明治一六年(1883)五月一八日「是まで郵便信書の切手を消印するに、切手の中心を消す者ありしが」
④ 手数料、税金などが納付されたことを証するため、
印紙の面に押す印。
※
売薬税法(明治三八年)(1905)
三条「其の売薬税に相当する印紙を貼用し、印紙面より
他所にかけ消印すべし」
⑤
書類などを訂正するとき、その個所に押す印。
訂正印。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の消印の言及
【裁判】より
…地境論の場合は絵図を作成し,これに墨線で裁許の境を示し,判決はその裏に記した(裁許絵図裏書)。双方は連印して裁許請証文を出し,原告は訴状と返答書を下付され,これを継ぎ合わせて裏書の奉行印を抹消してもらい(消印),書類を奉行所に納めて訴訟を終わった。以上の判決手続のほか裁判所法廷内外の和解([内済](ないさい))を強く奨励し,用水論では現地で内済することを原則とし訴えは取り上げない方針であった(場所熟談物)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」