選言命題(読み)せんげんめいだい(その他表記)disjunctive proposition

精選版 日本国語大辞典 「選言命題」の意味・読み・例文・類語

せんげん‐めいだい【選言命題】

  1. 〘 名詞 〙 伝統的形式論理学で、一つ名辞について、二つ以上の述語選択の形で結びつけられた命題。たとえば「太郎小学生か、中学生である」の類。現代論理学では、選言のこと。たとえば「太陽は東からのぼるか、あるいは、クジラは魚である」の類。選言的判断

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「選言命題」の意味・わかりやすい解説

選言命題
せんげんめいだい
disjunctive proposition

記号論理学において,命題論理というのは命題言明)をもうこれ以上分解することができないという意味で原子的な命題にまで分解していき,今度はそれらの原子的命題の組み合わせによってあらゆる命題をつくりだし,原子的命題が真か偽のいずれかであることを利用し,その真偽を定めようとする。このとき,原理的には二つの組み合わせ記号演算子という)があれば十分なのであるが(シッファーの証明),普通,連言(∧),選言(∨),含意(⊃),否定(¬)の四つが用いられる。バートランド・ラッセルの『プリンキピア・マテマティカ』Principia Mathematica(全3巻,1910~13)のなかで,あらゆる命題がこれらの記号で組み立てられうることが証明されている。このうち,選言というのは,「または」(英語なら or)という意味で,二つの命題を A,Bとおくと,A∨Bは,AとBがともに偽のときのみ偽とする非排他的なものと,A,Bいずれか一方だけが真のときのみ真となる排他的なものがあり,コンピュータの論理演算素子後者も用いるが,論理学では普通前者が用いられる。なおこのことを「論理和」と呼ぶこともある。

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世界大百科事典(旧版)内の選言命題の言及

【判断】より

…以上,単称命題とA,I,E,Oの命題は,定言命題と総称されているが,伝統的論理学ではそのほかに次の命題の型が取り上げられている。p,qを任意の命題とするとき,(a)〈pならばq〉という命題は仮言命題と呼ばれ,(b)〈pまたはq〉は選言命題と呼ばれる。そしてこの両者(a)(b)は条件命題と総称されている。…

※「選言命題」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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