六訂版 家庭医学大全科 の解説
遺伝子異常はすべて病気?
(遺伝的要因による疾患)
赤血球が
中央アフリカではマラリアは人間の命を脅かす感染症ですが、アフリカの住民は人類の長い歴史のなかで鎌状赤血球症の遺伝子異常の人が生き残るという形で環境に適応してきたと考えられます。
マルファン症候群は心臓疾患・水晶体の異常・長い躯幹と手足をもつ、よく知られた常染色体優性遺伝病ですが、米国の3代大統領のリンカーンも、実はマルファン類似の遺伝病をもっていました。天才的なバイオリンの名手だったパガニーニは、皮膚や
単一遺伝子異常といっても障害の発現には個人差があります。遺伝子異常が原因する“障害の程度”が“病気”かどうかを決めるわけで、遺伝子異常そのものが“病気”ではないのです。本文で述べたように誰でも10個くらいの常染色体劣性遺伝病の遺伝子をもっています。特定の条件により病気の子どもを生むかどうかが決まるわけで、遺伝子異常をもっていない人はいません。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報