遺伝生化学(読み)いでんせいかがく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「遺伝生化学」の意味・わかりやすい解説

遺伝生化学
いでんせいかがく

酵素作用や物質の生産など生化学的形質や、遺伝子の構造や働きを生化学的に研究する遺伝学の一分野。生化遺伝学ともいう。イギリスの医学者ギャロッドA. E. Garrodは、アルカプトン尿症とよばれるヒト代謝異常が遺伝するという研究を1902年に発表し、1909年には『先天性代謝異常』を出版し、遺伝現象の生化学的研究の道を開いた。1941年にはアメリカの遺伝学者ビードルとテータムアカパンカビを用い、ビタミンの一種を要求する突然変異体を分離し、生化学反応の遺伝子による制御の研究を発表した。彼らの研究は「一遺伝子一酵素説」として提唱され、その後の遺伝生化学の基本原理となった。この説は、一つの遺伝子は一つの酵素分子の構造や働きを支配し、遺伝形質を発現するというものである。1953年にはアメリカのワトソンとイギリスのクリックによりDNAデオキシリボ核酸)分子の二重鎖モデルが提出され、さらに1961年以降、遺伝暗号が解読され、遺伝子の本体であるDNAとDNAから転写され翻訳されるタンパク質の間の対応関係が解明された。

 遺伝生化学分野の研究材料としては、菌類細菌類ウイルスなど微生物多く用いられ、また研究の多くは遺伝現象を分子レベルで研究するものであり、この分野の研究は微生物遺伝学や分子遺伝学研究の多くを含んでいる。

[石川辰夫]

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