日本大百科全書(ニッポニカ) 「郡上紬」の意味・わかりやすい解説
郡上紬
ぐじょうつむぎ
岐阜県郡上市八幡(はちまん)町で織られる紬織物。古くからあった名称ではなく、第二次世界大戦後つけられた比較的新しいものである。この地方では、養蚕を通じて、農家の自家生産として織られていたが、戦後、工芸家の宗広力三(むねひろりきぞう)(1914―89)が再興、1952年(昭和27)設立した郡上郷土芸術研究所(1958年から郡上工芸研究所に改称)で意欲的に製作されている。蚕にはエリア蚕を使い、手紡ぎによる紡績と、植物染料による染色が特徴で、独特の味わいが醸し出されている。なお、宗広力三は、1982年(昭和57)紬縞織、絣織(かすりおり)で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。
[角山幸洋]