日本大百科全書(ニッポニカ) 「都市政策」の意味・わかりやすい解説
都市政策
としせいさく
自然発生的過程にゆだねた場合の都市の形成や拡大が各種都市問題を惹起(じゃっき)したことにかんがみ、その過程にかわって都市になんらかの公共的介入を加えようとする政策。この政策が必然視される一般的背景として、まず、すでに発生している問題について解決を要することは当然であるが、これはさらに、事後的に解決を図るのではなく、事前の予測により問題の発生自体を防止するような対策の確立という要請も生み出すようになる。また、都市住民の生活水準上昇につれて、以前は問題視されなかった点についても改善が必要となる。加えて都市化時代といわれる今日の都市の役割に照らし、広域的対策の拠点となるべき都市の開発も重要性を増している。このような背景からその策定と発動が要求される都市政策は、都市構造が複雑化した今日、交通施設、上下水道、都市地盤、河川、公園などの基盤整備と都市計画はいうまでもなく、行・財政、住宅、教育、文化、保健、防災、住民組織など多面的内容をもっている。
[中村八朗]
『建設省監修『日本の都市政策』(1984・ぎょうせい)』▽『佐藤誠著『都市政策と経済改革』(1980・ミネルヴァ書房)』