都市民俗学(読み)としみんぞくがく(その他表記)urban folklore

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「都市民俗学」の意味・わかりやすい解説

都市民俗学
としみんぞくがく
urban folklore

1960年代以降の急激な都市化に伴い,単に過去の産物ではない,現代社会を反映する生きた民俗をとらえる必要があるという認識から,都市を研究対象にする方向が定着してきている。まず都市化という現象の中に変容あるいは再生している民俗文化を発見する作業が必要となり,次に都市に展開している大衆文化の中に組み込まれている民俗を積極的に抽出していこうとする流れがあり,宿場町城下町といった各地の伝統的地方都市がクローズアップされている。一方,大都市ではさまざまな機能集団がさらに複雑に交錯しており,住民の移動が激しく民俗のいわゆる伝承母体が確定しにくいことなどから,大都市をフィールドとするには方法論上の困難さが伴うが,現代の高度情報社会においてマスメディア媒介として展開される伝承といった,新しい都市の民俗資料を再検討しながら都市民の心意をとらえていこうとする研究も行なわれている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android