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大衆文化 たいしゅうぶんかmass culture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大衆文化
たいしゅうぶんか
mass culture

大衆社会に特徴的な文化のことで,貴族文化や土着の民俗文化と区別される。その特徴は,(1) 創出者と享受者の分離,(2) 創出行為の営利化,文化の大量生産,(3) 享受行為の画一化,大量消費,(4) 主たる享受者である中間層の生活様式に浸透し,生活様式の平準化,画一化を推進する,(5) 娯楽的,情緒的性格を帯びやすい,などであるといわれている。

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百科事典マイペディアの解説

大衆文化【たいしゅうぶんか】

文化の担い手に着目する見方では,エリートに対する大衆の文化の意味。大衆の従属的側面を強調する立場からは低い価値しか与えられない一方で,新たな文化創造の可能性を持つものともされる。

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世界大百科事典 第2版の解説

たいしゅうぶんか【大衆文化】

ある社会で生産され提供される社会的機会・財貨・サービス・情報(精神的な富)を,その社会を構成する大衆がひろく享受する全状況をいう。つまり精神的な富の生産・流通・享受の過程と,その過程が社会および個人に対してもつ意義を含んでいる。 いうまでもないが,大衆文化の成立には,社会的階層としての〈大衆〉の発生が不可欠の前提になる。大衆がどのような過程をたどっていつごろ出現したかは,議論の分かれるところであり,必ずしも自明ではないが,身分や地位にもとづく伝統的な階層構造が崩れ,階層的には最底辺にいた人口層にまで普通教育が普及し,この人々に政治に参加する機会が与えられ,そして,マス・メディアの受け手になりうる社会的条件が与えられ,何よりもまず,一定水準の消費生活を享受する経済的条件が満たされ,その結果,大衆化状況――大衆民主主義から流行まで――が出現する。

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大辞林 第三版の解説

たいしゅうぶんか【大衆文化】

大衆を担い手とする文化。生活水準の向上、教育の普及、マスコミの発達などを基盤にして形成され、大量生産・大量消費を前提とするため、文化の商品化・画一化・低俗化の傾向を伴うことが多い。マス-カルチャー。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大衆文化
たいしゅうぶんか
mass culture

膨大な数に上る大衆を対象にして、生産され、消費される文化。現代社会においては、社会のすべての人々は、多かれ少なかれ大衆としての側面をもっているから、現代文化は大衆文化としての性格を示す。
 高級文化と対比して用いられることもある。その場合、文化を享受する社会階層を高級と低級の二階層に分け、高級文化は社会の上流階級を基盤にして、知的で、洗練された形式と内容をもち、芸術的な文化であるのに対して、大衆文化は、社会の低級な階層の享受する文化として、軽蔑(けいべつ)したニュアンスを込めて用いられる。また、民衆の健全な生活に根ざした伝統的な文化を民衆文化とよび、これに対して大衆文化は、産業社会の発展とともに、故郷を離れ都市に集中した根なし草で、雑多な人々を対象にして、つかのまの消費の対象となるその場限りの文化という意味で用いられることもある。しかし現代社会においては、高級文化と大衆文化を対比したり、また民衆文化と大衆文化を対比する社会的意味は大きく薄れてしまっている。[藤竹 暁]

大衆文化成立の背景

大衆文化が現代社会の文化という位置を占めるに至った背景として、次の諸点が重要である。第一は、社会の基本的民主化の進行、とくに普通教育の普及による読み書き能力の水準の上昇、そして普通選挙制の実現による人権と平等思想の浸透によって、社会に生活する人々が、文化の生産と享受に、とりわけ文化の享受(消費)に参加できるようになった点である。こうして、社会全体を市場とする文化、すなわち大衆文化の成立が可能になった。第二は、経済的豊かさの進行である。大量生産と大量消費の社会的仕組みが確立することによって、大衆的市場が形成されるとともに、画一的で均一的な平準化された商品が安価に普及することになった。その結果、社会の大多数の人々のライフスタイルが一様化されることになった。大衆文化は、人々のライフスタイルの平準化を基礎にして開花する。第三は、マス・メディアの発達である。マス・メディアは、社会全体に同じイメージをきわめて短時日の間に普及させる。またマス・メディアは、一方では社会全体に共通イメージを普及させる力を発揮するとともに、他方では社会の現状を維持し、秩序を保つために好ましいイメージを育て、さらには発展させる力をも発揮する。[藤竹 暁]

マスコミと大衆文化

こうして現代文化はマス・メディアによって生産され、伝播(でんぱ)されるという性格を示すことになる。現代人は、マス・メディアに対してほぼ共通に接し、マス・メディアが毎日休むことなく提供する情報を受容することを通して、環境の変化を経験する。ここから、大衆文化は、マス・メディアによって社会全体に提供されている文化という意味をもつことになる。したがって大衆文化は、文化の画一化を進行させ、文化水準を趣味の社会的レベルの最低水準にあわせることによって、文化的価値の最低公分母を生産することになるとして、批判の対象ともなる。大衆文化は、社会のメンバーの日常生活の諸場面を共通の色彩で彩る力を発揮する。こうした状況は、また、マス・メディアが日々、共通のメッセージを社会に拡散することによって促進されることになる。現代に生きる人間は、したがって、大衆文化のこうした圧力から完全に無縁な状態で生きることはできない。しかし大衆文化の時代にあっても、人間の生活は、社会に共通の色合いによって一色に塗りつぶされてしまうとは限らない。
 性、年齢、職業、居住地域、趣味嗜好(しこう)などによって、その階層に独自のさまざまな文化(下位文化subculture)がつくりあげられている。しかし大衆文化の時代は、こうしたサブカルチャーのなかで、一般の人々にとって興味と関心をひくものを、マス・メディアがただちに取り上げ、短時日のうちに大衆文化にしてしまうメカニズムが働いている。こうして大衆文化は、大量の人々を巻き込みながら、めまぐるしく変化する文化でもある。また現代では、情報の国際的伝達と交流が目覚ましいために、大衆文化は世界的な共通性をも強く示すようになっている。[藤竹 暁]
『作田啓一・品川清治・藤竹暁著『今日の社会心理学5 文化と行動』(1963・培風館) ▽鶴見俊輔著『戦後日本の大衆文化史』(1984・岩波書店) ▽仲村祥一・中野収編『大衆の文化』(1985・有斐閣)』

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