動脈硬化により血液の循環不全をきたす閉塞(へいそく)性動脈硬化症が重症化し、下肢血管の血流障害から虚血状態となって末梢(まっしょう)に潰瘍(かいよう)、さらには壊死(えし)を伴う病態。略称CLI。血管壁の炎症から血栓や肥厚をきたすビュルガー病(閉塞性血栓性血管炎)による虚血も原因の一つとなる。末梢動脈疾患の一つで、下肢末端の激しい疼痛(とうつう)が持続する重症虚血肢の状態のまま治療せずにいると、進行して1年も経過しないうちに下肢切断を余儀なくされることも多い。潰瘍や壊死を呈した場合の5年生存率は50%前後とされる、危険性の高いものである。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、喫煙習慣・加齢などに起因して発症し、糖尿病では「糖尿病性壊疽(えそ)」が医師から告げられることが多い。またビュルガー病は喫煙歴のある若年男性に多く発症がみられる。靴ずれや深爪(ふかづめ)、外傷などといった、ちょっとした不注意による傷をきっかけに潰瘍が生じ、さらに壊死することも多いので、予防に心がけて足を清潔に保つことがたいせつである。
治療としては、基礎疾患に対する薬物療法をはじめとして、バルーンカテーテルやステントなどを用いた血管内治療、バイパス手術、さらには再生医療なども検討する。
[編集部]
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