重症下肢虚血(読み)ジュウショウカシキョケツ(その他表記)critical limb ischemia

デジタル大辞泉 「重症下肢虚血」の意味・読み・例文・類語

じゅうしょう‐かしきょけつ〔ヂユウシヤウ‐〕【重症下肢虚血】

下肢への血流障害によって、安静時にも激しい痛みがあり、下肢の抹消潰瘍かいよう壊死えしが生じた状態閉塞性動脈硬化症バージャー病などによる虚血が進行して起こる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「重症下肢虚血」の意味・わかりやすい解説

重症下肢虚血
じゅうしょうかしきょけつ
critical limb ischemia

動脈硬化により血液の循環不全をきたす閉塞(へいそく)性動脈硬化症が重症化し、下肢血管の血流障害から虚血状態となって末梢(まっしょう)に潰瘍(かいよう)、さらには壊死(えし)を伴う病態。略称CLI。血管壁の炎症から血栓や肥厚をきたすビュルガー病(閉塞性血栓性血管炎)による虚血も原因の一つとなる。末梢動脈疾患の一つで、下肢末端の激しい疼痛(とうつう)が持続する重症虚血肢の状態のまま治療せずにいると、進行して1年も経過しないうちに下肢切断を余儀なくされることも多い。潰瘍や壊死を呈した場合の5年生存率は50%前後とされる、危険性の高いものである。

 高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、喫煙習慣・加齢などに起因して発症し、糖尿病では「糖尿病性壊疽(えそ)」が医師から告げられることが多い。またビュルガー病は喫煙歴のある若年男性に多く発症がみられる。靴ずれや深爪(ふかづめ)、外傷などといった、ちょっとした不注意による傷をきっかけに潰瘍が生じ、さらに壊死することも多いので、予防に心がけて足を清潔に保つことがたいせつである。

 治療としては、基礎疾患に対する薬物療法をはじめとして、バルーンカテーテルステントなどを用いた血管内治療バイパス手術、さらには再生医療なども検討する。

[編集部]

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