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病気やけがで失われた臓器や組織を再生させる医療。患者本人の未分化細胞の培養などによって、人体の部品をつくる。従来の臓器移植では避けられなかった拒絶反応の心配がない。ほとんどの細胞に分化できる可能性があることから、万能細胞ともよばれる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の出現で、可能性が高まった。再生医療の研究は各国で行われているが、日本でも盛んである。2000年(平成12)春には東京女子医科大学の新岡俊治らのグループが、患者の血管細胞と人工材料でつくった再生血管移植手術を行い、奈良県立医科大学の吉川隆章らは、やけどをした患者の骨髄細胞を培養して皮膚をつくるのに成功した。また東京医科歯科大学など7施設共同で、土台となる溶ける繊維に骨髄細胞をつけてあごの骨を再生する臨床試験が行われるなどした。2007年11月には京都大学再生医科学研究所の山中伸弥(しんや)らが、人の皮膚細胞から万能細胞の一つである人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製することに成功し、万能細胞を使った再生医療がにわかに現実味を増してきた。
[田辺 功]
『八代嘉美・中内啓光著『再生医療のしくみ』(2006・日本実業出版社)』▽『岡野光夫・大和雅之監修『再生医療技術の最前線』(2007・シーエムシー出版)』
(田辺功 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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