重罪軽罪(読み)じゅうざいけいざい(英語表記)felony-misdemeanor
Verbrechen-Vergehen[ドイツ]
crime-délit[フランス]

改訂新版 世界大百科事典 「重罪軽罪」の意味・わかりやすい解説

重罪・軽罪 (じゅうざいけいざい)
felony-misdemeanor
Verbrechen-Vergehen[ドイツ]
crime-délit[フランス]

犯罪をその罪質の軽重により区分した分類。歴史的には,イギリスのコモン・ローのように,殺人,強姦,強盗窃盗放火等の--死刑等の重刑にあたる--主要な自然犯を重罪とし,それ以外の罪を軽罪とする法制もあったが,今日では,一定の刑期(例えば,アメリカの多くの地域やドイツでは1年,フランスでは5年)以上の拘禁刑にあたるか否かを基準に,一律にこれを区分するのが通常である(なお,フランスでは,この両者に〈違警罪contravention〉という最下位の範疇を加えた三分法が用いられている)。

 この分類の意義は,重罪・軽罪(または違警罪)のいずれに属するかにより,実体法上の取扱いや効果に一定の差異が認められること(例えば,ドイツやフランスでは,重罪については未遂もつねに可罰的とされ,また,重罪での刑の言渡しは当然に公権剝奪の効果を伴う)に加え,管轄裁判所や訴訟手続上の方式・要件などがはっきりと異なる(例えば,フランスでは,重罪事件を公判に付するためには,2段階の予審手続を経ることが必要であり,また,アメリカの多くの地域でも,重罪の起訴は必ず大陪審の決定によらなければならない)という点にある。

 日本でも,旧刑法(1880公布)時代には,フランス流の三分法によっていたが,現行刑法(1907公布)になりそれが廃止されて以来,このような分類は用いられていない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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