1880年公布の旧刑法が,フランス刑法の重罪・軽罪・違警罪という犯罪の分類にならい,その第4編に定めた,拘留・科料にあたる軽微な罪の総称。公衆道徳違反的内容をもつものが多い。同年公布の治罪法は違警罪を管轄する裁判所として治安裁判所を予定したが実現せず,85年に,警保寮職制章程(1872),違式詿違条例(いしきかいいじようれい)などを前身として,違警罪につき警察署長またはその代理たる官吏が即決処分により処罰しうる権限・手続を定めた違警罪即決例(太政官布告31号)が成立した。1907年公布の刑法は旧刑法の犯罪分類を廃したが,刑法施行法31条は拘留・科料にあたる罪を他法適用上は違警罪とみなし,従前の諸規定も翌年の警察犯処罰令に再編された。違警罪即決例は,警察犯処罰令などと相まって,犯罪捜査や不当拘禁・弾圧の手段として濫用された。第2次大戦後の47年即決例は廃止,翌年には処罰令も軽犯罪法に換えられた。
執筆者:伊東 研祐
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…犯罪をその罪質の軽重により区分した分類。歴史的には,イギリスのコモン・ローのように,殺人,強姦,強盗,窃盗,放火等の――死刑等の重刑にあたる――主要な自然犯を重罪とし,それ以外の罪を軽罪とする法制もあったが,今日では,一定の刑期(例えば,アメリカの多くの地域やドイツでは1年,フランスでは5年)以上の拘禁刑にあたるか否かを基準に,一律にこれを区分するのが通常である(なお,フランスでは,この両者に〈違警罪contravention〉という最下位の範疇を加えた三分法が用いられている)。 この分類の意義は,重罪・軽罪(または違警罪)のいずれに属するかにより,実体法上の取扱いや効果に一定の差異が認められること(例えば,ドイツやフランスでは,重罪については未遂もつねに可罰的とされ,また,重罪での刑の言渡しは当然に公権剝奪の効果を伴う)に加え,管轄裁判所や訴訟手続上の方式・要件などがはっきりと異なる(例えば,フランスでは,重罪事件を公判に付するためには,2段階の予審手続を経ることが必要であり,また,アメリカの多くの地域でも,重罪の起訴は必ず大陪審の決定によらなければならない)という点にある。…
※「違警罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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