強盗(読み)がんどう

精選版 日本国語大辞典 「強盗」の意味・読み・例文・類語

がん‐どう ‥ダウ【強盗・龕灯ドウ

〘名〙
① (━する) 他人の品物や金銭などを暴力を用いて無理に奪い取ること。また、その人。ごうとう。押し込み。押し入り。がんど。単にののしりのことばとしても用いる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
史記抄(1477)一六「言は、人を劫かして、取るぞ、かんたふをするぞ」
白樺になる男(1925)〈十一谷義三郎〉三「もう一人は龕灯(ガンドウ)を高く上げて辺りを見廻した」
※洒落本・玉之帳(1789‐1801頃)一「せりあげしゃちがんどうぶんまはしといふ道具立」
※歌舞伎・絵本合法衢(1810)七幕「どろどろになり、龕燈(ガンドウ)にてお亀消える」
[語誌](1)「盗」の呉音清音タウだが、「強」の呉音ガウのウが鼻音性をもっているため、タウが濁音化してガウダウとなり、さらに、舌音のダに引かれてガウのウが舌音の鼻音ンに転じてガンダウとなったものと思われる。
(2)その後、ガンダウの形は、「強盗提灯」「強盗返し」「強盗頭巾」などの複合語に残るにとどまり、単独ではガウダウとなっていく。さらに、字音連濁開合区別多く失われた江戸後期から明治頃に、ゴウトウが一般的になった。

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デジタル大辞泉 「強盗」の意味・読み・例文・類語

ごう‐とう〔ガウタウ〕【強盗】

《古くは「ごうどう」とも》暴力や脅迫などの手段で他人の金品を奪うこと。また、その者。「強盗を働く」
[類語]泥棒盗人盗賊追い剝ぎこそ泥ギャング辻強盗物取り夜盗空き巣空き巣狙い板の間稼ぎ枕探し護摩の灰車上荒らし火事場泥棒掏摸かっぱらい巾着切り箱師万引き置き引き引ったくり

がん‐どう〔‐ダウ〕【強盗】

《「がん(強)」は唐音
ごうとう(強盗)」に同じ。
「この半七を掏摸すりの、かたりの、―のとは」〈浄・女腹切
強盗提灯がんどうぢょうちん」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「強盗」の読み・字形・画数・意味

【強盗】ごうとう(がうたう)

凶器や暴力で財物を奪う者。〔宋史、黄洽伝〕強盜は他盜に異なり。~(も)し止(た)だ役(こんえき)のみならば、三年の後、圈檻(けんかん)(収容するおり)一たび弛まば(きとつ)四出し、善良のを受くること、(あ)げて數ふべけんや。

字通「強」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の強盗の言及

【盗賊】より

…17世紀フランスの版画家ジャック・カロが描いた多くの作品に盗賊の群れのモティーフが使われたこともその証拠といえる。18世紀に入ると,大都市では押込み強盗,家僕の窃盗,すりなどの盗みの行為が圧倒的に多くなり,例えば革命前夜のパリでは犯罪件数の90%に近い割合を示して,現代社会にきわめて類似した犯罪構造をはらんでいた。こうしたなかで,18世紀のイギリス,フランス,ドイツではディック・ターピンDick Turpin(本名Richard Turpin,1706‐39),カルトゥーシュCartouche(本名ドミニクLouis Dominique,1693‐1721),シンダーハネスSchinderhannes(本名ビュックラーJohann Bückler,1783‐1803)らの強盗が理想化されて,中世イングランドの義賊ロビン・フッドにも似たイメージが民衆世界にわきあがるが,彼らは本質的には盗賊のやからにすぎなかった。…

【盗み】より

…私有の観念の発生とともに古くからあった行為であろうが,さまざまな社会の中で,どのような行為が犯罪とされ,またどのように罰せられるかは,その社会や文化のあり方と深くかかわっているといえる。 なお盗みをめぐる現在の法律上の問題については,〈窃盗罪〉〈強盗罪〉〈横領罪〉の項を参照されたい。
【盗みをめぐる習俗】
 盗みという行為がどう扱われるかは,その社会の〈所有観念〉と深くかかわりをもつ。…

※「強盗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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